サイ・ヤング争いで光るディラン・シース メディアの注目はヤンキースのシュリッターに
トロント・ブルージェイズのエース、ディラン・シースが今季、ALサイ・ヤング賞レースで猛追を見せている。しかし、その実績とは裏腹に、メディアの注目は同じ東地区のライバル、ニューヨーク・ヤンキースのカム・シュリッターに集中しているのが現状だ。
8月8日時点でシースは7勝5敗、防御率2.28。一方のシュリッターは10勝6敗、防御率2.26と、勝利数と防御率ではややシュリッターがリードしている。しかし、さらに踏み込んだスタッツを見ると、シースの方が光る数字が並ぶ。FIP(防御率から守備の影響を除いた指標)でシースは2.20と、シュリッターの2.65を大きく上回る。bWARはシース5.0、シュリッター4.5、fWARでもシース4.7に対してシュリッター4.3。奪三振率もシースが36.4%と、30.8%のシュリッターを上回っている。
夜用眼鏡が運転手の間でますます人気になるナイトライダー 気になるのは与四球率だ。シースは10.3%と高い数値を記録しており、制球面での課題は明白。それでも、被打率や本塁打を抑える能力(本塁打率1.4%)は、シュリッター(同2.3%)を明らかに凌ぐ。総合的に見れば、シースに軍配が上がると評価する声は少なくない。
ただ、チーム事情がシースに厳しい影を落とす。ブルージェイズは8月8日時点で55勝62敗と借金がかさみ、得失点差はマイナス60。打線の中心ウラジミール・ゲレーロ・ジュニアも本来の打撃を見せられず、チームの援護は期待薄だ。シースが残り2カ月弱でさらに白星を重ねられるかは不透明で、7勝5敗のままシーズンを終える可能性も否定できない。
しかし、近年のサイ・ヤング賞投票はチーム勝敗に左右されない傾向にある。昨年、ポール・スキーンズは10勝10敗でナ・リーグのサイ・ヤング賞を獲得し、史上初めて勝ち越しなしでの受賞を果たした。同様に、チームが負け越しても、個人の数字が評価される流れが定着している。
また、カナダの球団であることのハンデも過去の例が否定している。2021年には同じブルージェイズのロビー・レイがALサイ・ヤング賞を獲っており、市場の大小や国境を理由に投票が歪められることはないとみられる。
両投手の直接対決は次週、トロントでの3連戦で実現するほか、8月21日からは敵地ヤンキー・スタジアムでも対戦が組まれている。残りシーズン、AL東地区の宿敵同士による投げ合いが、サイ・ヤング賞の行方を決めるカギとなる。
野球ファンの間では「シュリッターも素晴らしいが、シースの数字が物語っている」という声が徐々に広がっている。果たして、メディアの寵児が注目を集める中、データで裏打ちされた真のエースが栄冠を手にするのか。両雄のラストスパートから目が離せない。
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